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指導者のいない環境で論文を作成する場合の主な3つの問題点!

学会・論文関連

前回の記事では小中規模施設での論文作成についての意義について私見を述べました。

今回は実際に小中規模施設で指導者も経験者もいない環境で論文作成していくにあたってぶち当たるであろう課題(問題点)について主なものを3つ述べていきます。

※この記事での論文投稿は査読ありを前提として記述していきます。

論文の書き方についてイメージできない(イメージしにくい)

現在では学会誌やネットで多種多様な論文を参照することが可能です。しかし実際に論文を作成するとなると話は変わってきます。何から手を付ければよいか、どのような形式で書いていけばいいのかなど、具体的なイメージがしにくいのです。

「投稿規定をちゃんと読めばいいじゃないか」「論文の書き方もネットなどで調べることもできるじゃないか」と気軽に言われる方もいますが、それは論文作成を何回か、最低一度でも行ったことがあるからそう考えられるのです。もちろん簡単な流れ、タイトル、要約、序論、方法、結果、考察、結論、謝辞、参考文献といった大まかな流れは理解できますが、それ以外の細かい部分のイメージがしにくいのです。

具体例として、初めての業務についたときのことを思い浮かべてみてください。

ちゃんとその業務の検査や治療の知識も本で調べ、手順や装置のマニュアルも読んでいたとしましょう。それだけで実際に業務のイメージが明確にできるでしょうか?最初から一人でよどみなく、自信をもって業務を行なうことができるでしょうか?おそらくそれは不可能だと考えます。

大体は時間を取って(暇を作って)実際の業務を行なっている場面(過程)を見学したり、指導者のフォローを受けて業務を行なったりしていないでしょうか。

論文作成もそれと同じです。学会誌やネット上の論文を見てわかるのはあくまで結果であり、その過程についてはわからないですし、投稿規定を読み込んでもマニュアルと同じで実際にやってみないとイメージしにくい、理解しにくい部分も多々あります。

ゆえに指導者や経験者がいない小中規模施設では論文作成に取り掛かるまでのハードルが高いのです。

完成した論文の確認、推敲が難しい!

次に出てくる問題が作成した論文の確認と推敲です。

1で述べた問題点を乗り越え、論文作成し完成させたとしましょう。では書き終えた論文をすぐに投稿しましょう!とはなりません。推敲が必須となります。
論文の作成形式が正しいか、全体の流れにおかしい部分はないか、論理展開に問題はないか?誤字、文章におかしい部分はないか、表や図の形式、参考文献の書き方など確認すべき点は多くあります。

指導者や経験者がいないため、自分一人でこれらの作業を行う羽目になるのですが、自分で何度か読み直しても内容に関してある程度頭に入っているため、どうしても先入観がありなかなか間違いに気付かないのです。
もちろん紙に印刷して何度か読み返したり、時間をおいてからまた読み直して確認してみたりなど、できる限り注意深く確認作業は行うのが前提ですが、それでもやはり一人では限界があります。

これは学会発表のスライドでも同じことが言えるのですが、論文は学会発表用スライドと比べ、チェックする項目と量が多いためかなりの労力が必要であり、チェック項目と量が多い分、見落としなどもどうしても増えてしまいます。

査読者のコメントに対する返答と論文校正

これは施設規模にかかわらずある問題ですが、論文が1発でアクセプトということはほぼなく、最低1回は校正が必要となります。
ここで査読者(2名もしくは3名)からコメントが添付されてきますが、特に複数名の場合、心をへし折るかの如く厳しいコメントがされることが往々にしてあります。

私も何本か論文を投稿、アクセプトされていますが、肯定的な意見や建設的な意見が中心の時もあれば、かなり厳しい(否定的な)コメントを頂くこともあります。
特に片方の査読者(仮にAとします)は内容に関し肯定的な意見が中心で特に大きな問題はないので細かい部分の修正コメントのみ、もう片方の査読者(Bとします)はほぼ否定的な意見中心(パワハラに近いような内容のコメントの時もあります)の場合が心理的に一番きついです。
両方から否定されれば論文自体が悪いと思えますが、片方からは肯定的でお褒めの言葉もいただいているのに、もう片方からは否定的なコメントだとやはり心の整理はつけにくいです。特に否定的でもちゃんとした(論理的な)文章でコメントを頂ける場合は納得しやすいですが、ただけなすようなコメントを書いてくる方もおり、恨みでもあるのか、嫌がらせか、と考えてしまうこともあります。

ここで論文投稿が初めての場合、心が折れそうになります(というか折れます)。特に指導者や経験者がいない小中規模施設、身近に助けを求めることもできず、愚痴も言えずに自信喪失、卑屈になってしまい、その後の論文作成自体をやめてしまう方もいます。

論文作成する際にはある程度の覚悟と時間の確保は必須!

大まかですが指導者のいない環境での論文作成において躓くであろう3つの点について記述しました。

最近では学会でも論文投稿に関する講演などもあり、論文作成への取り組み方や査読に対する対策や体験談などを聞く機会も増えてきました。
しかしそのほぼすべてが指導者、共著者がいる環境での取り組みが前提であり、指導者や経験者がいない環境での論文作成は、より負担が大きいことは自覚したうえで取り組まないと中途半端なところで終わってしまい、貴重な時間と労力を浪費することとなります。
ただ、そのような環境でも論文作成、アクセプトされれば、自分の能力に対する自信につながり、達成感も得られます。
前回の記事に書いたように自分の将来の目的と一致する場合、もしくは将来の選択肢を広げておきたい場合においては、論文作成に取り組むかどうかを一考する価値はあると思います。

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