学会の発表形式として、ほとんどの場合はポスター発表と口述発表の2種類があります。
どちらの発表形式がおすすめですか?とよく聞かれますが一概にどちらがいい!とは断言できません。それは発表内容やその方の勤務先からの学会参加メンバーにも関わるためです。今回はそれぞれの発表形式の特徴と選ぶ際の目安について説明します。
口述発表とポスター発表それぞれの特徴は?
それぞれの発表形式の特徴を簡単に上げると
口述発表
1.一度の説明で多くの人間に発信できる
2.発表、質疑応答が短い時間で終了する
3.座長が司会、進行管理してくれる(進行管理の必要がない)
4. (学会によるが)間際までスライドの修正が可能
ポスター発表
1.内容をじっくり見てもらえる
2.質疑応答がじっくりできる
3.実験データが多く提示できる
4.ポスター印刷を外注する場合、準備は早めに終わらせる必要がある
といったところです。もう少し細かく述べていきます。
口述発表は短時間集中型
先ほど述べたように口述発表は10~15分程度の短い発表で終了します。そのたった1回の短い時間を頑張れば確実に終了する、というのは発表が初めての方にとってはありがたい部分もあるのではないでしょうか。
また、セッションごとに区切られており、そのセッションに興味がある方が集まるため、興味がある多くの人間に一度の発表で研究成果を伝えることができます。
反面、短時間ですべての聴衆に分かりやすく、印象に残るように発表できるかがキモとなり、しかも1発勝負なので、そこでミス(伝わらない発表、時間内に質問に答えられない等)をすればリカバリーは難しいです。
ポスター発表は長時間閲覧型
ポスター発表は、複数演題を順に発表していくセッション形式と、決まった時間にポスターのところで待機し討論する自由討論形式がありますが、どちらの形式にせよ学会期間中はずっと張り出しているため、好きな時間に何回でも見ることができます。
そのためデータ量がある程度多い場合でもじっくりと読み込むことができ、質疑応答もポスターを見ながらできるため、深く突っ込んだ部分まで討論できます。
反面、その都度説明やプレゼンが必要なため手間がかかり、拘束時間は口述発表よりも長くなります。また、印刷の形式(1枚印刷、A3サイズ、A4サイズ)や、それに伴うコストと時間、ポスターの学会会場までの持ち運びなどにも気を使う必要があります。
一人で学会参加、初めての発表なら口述発表とポスター発表、どちらがおすすめ?
学会発表が初めての方は壇上でのプレゼンがない(もしくは短い)ポスター発表を選びがちですが、小規模施設の方が一人で学会に参加、発表する時は、内容にもよりますが基本的に口述発表をおすすめしています。以下に理由を挙げます。
発表までの時間的余裕
初めての研究発表では、研究内容の見直し、結果のまとめ、スライドの構成やレイアウト、誤字脱字等のチェックなどで想定以上に時間がかかるからです。
ポスターでは自分で印刷する(A3,A4で印刷する場合)なら学会3日前(最悪でも学会前日)、外注の場合ならどんなに遅くとも学会の2週間前には依頼しておきたいところです。
「たった3日くらい」「もっと余裕をもって進めれば」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、初めての発表ではなかなか想定通りに進まないことも多く、このわずかな時間の差が大きく影響してきます。
口述発表ならほとんどの学会では当日にスライドセンターにてデータ確認後、提出という形が多く、時間に多少の余裕ができます。学会によって多少違う場合もありますが、基本的にはポスター発表より口述発表の方がデータ入稿は後の場合が多いです。
また、口述発表なら短時間で終わるというのも初めての方にはメリットだと考えています。
質疑応答
発表後の質問に関して、口述発表なら座長が助け舟を出してくれることもありますし、時間が限られているため、答えられない場合(極力このようなことはないようにすべきですが)は「また検討しておいてください。」で終わります。
しかしポスター発表ではじっくりと見てもらえる=質問も深く、長くなるため、初めての方、しかも小規模施設で一人学会に参加するような場合は、だれの助けもない状態で長時間質問攻めされることもあり、精神的に疲れる可能性もあります。
以上の理由より小規模施設の方が一人で学会参加、初めて発表する場合、基本的には口述発表をおすすめしています。
まとめ
今回は学会の発表形式の概要について説明しました。どちらの発表形式にもメリットデメリットがありますので、自分の研究内容や学会に参加する状況等を考慮し適切に選択しましょう。
もうひとつ、初めから緊張もせず、完璧な学会発表ができる方はほとんどいません。多くの苦労や失敗も含めて、貴重な経験だと割り切って、初めての学会発表を乗り越えていきましょう。
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