小規模施設の学会発表の必要性に関しては以前の記事でも書きましたが、いざ発表しよう!と考えても、では何を研究すればよいのか?という点で二の足を踏む方も多いと思います。
今回は施設規模や学会発表の目的を考慮した研究ネタの探し方を3つほど紹介します。
最新の検査や治療の手技手法、機器(ハード、ソフト)評価
まず初めに思いつくものでわかりやすい研究ネタは最新の手技、手法、機器の検討です。年季の入ったベテランから新人の初めての研究発表などにも良く用いられる鉄板ネタです。
ただ、問題点もあります。
それは大病院や先端医療に携わる施設に所属していなければなかなか最新の手技手法、機器には携わる機会がないという点です。
ただ、小中規模施設においてもDrが新たな術式や検査を学会で仕入れてきたり、設備更新等のタイミングで最新の機器(ハード、ソフト両方)が入ったりと、頻繁ではないですが携わる機会が訪れることがあります。
小中規模施設に所属のする方は、そのめったにないチャンスを逃さないようにしましょう。
従来の手技手法の見直し、症例検討
次に多いのが従来の手技手法、症例検討ですが、症例が少ないから、珍しい手技、症例がないから無理!と思う方も多いでしょう。しかし、ちゃんと見直してみると案外学会発表に耐えうる手技手法、症例検討ができることもあります。
よくある例が、自施設だと頻繁にその手技や症例が来るためごくごく一般的だと思っていたら実は珍しい手技や症例だった、などです。
私の体験例ですが、以前所属していた施設では毎週クローン病の検査、治療が頻繁に行われていました。しかし実はクローン病は珍しい症例(当時は珍しかった。現在では患者数は増加している)だった!と後で知ってびっくりした経験があります。
このように日常の業務の中でも検討できる手技や症例がある可能性も大いにあります。
ただ、このような発見をするには他の医療機関などの現状を知る必要があるので、勉強会や学会で情報をこまめに仕入れたり文献を調べたりする必要があります。
その他:コストカット、他分野、他職種との連携など
上記2つ以外にも自作アイテムによるコストカットや他職種との連携による運用、ITを用いた業務の改善などもきっちりと検討すれば学会発表することができます。
特にこれらの検討は小中規模施設の方が取り掛かりやすいです。なぜなら連携をとるにせよ自作もしくは既存のシステムを用いて業務の改善を試すにせよ、許可を取る手間、他部署との連携のための話し合いなどが少なくて済むためです。
大規模施設ではシステムを用いて運用を見直すとなれば、いろいろな部署に影響が出る、もしくは多くの人間がかかわるため、その説明と許可を得るのにかなりの労力、時間が必要になります。
また、この系統の研究は総じてコストがかからないもしくは安い、特別な機材がなくても自作すれば何とかなる場合も多く、小中規模施設の方でも努力と発想次第で面白い発表が可能となります。
その気になって探してみれば意外と研究ネタはたくさんある
研究と聞くと慣れていない方にはハードルが高く聞こえますが、その気になって探してみれば、普段の日常業務の中にも意外と研究できることは多くあります。
何事もやってみないと始まりませんし、何もわかりません。人によって得意不得意はあるとは思いますが、苦手でも一度でいいので研究して学会発表してみてはいかがでしょうか?そうすることで今まで見えていなかったこと、わからなかったことに気づいたり、わかるようになりますよ。
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