医療機関に勤めていると学会発表が基本となるため、プレゼン構成は基本的に【目的、方法、結果、考察、結論】となり、この構成だけで十分事足ります。
しかし働いていく中で、企業に魅力を感じ、医療機関⇒企業に転職する方も一定数存在します。そして企業に移ってからは機器の原理から商品の説明など幅広くプレゼンを行なう必要があり、それまで用いてきた学会用のプレゼン構成のみでは十分な対応できなくなってしまいます。
企業におけるプレゼン資料の目的とは
- 興味を持ってもらう
- 伝えたいことを理解してもらう
- 行動に移してもらう
これらを満たすことが必要であり、そのためにも相手が即座に理解し、行動(購入)しようと思えるプレゼン資料の構成が重要です。
今回は聞き手を惹きつけるプレゼン資料構成に必要な知識とコツを挙げていきます。
プレゼン資料構成の基本系!最初は3部構成から始めよう
一言でプレゼンといってもセールスや会議、研修や講演などさまざまなケースのプレゼンがあります。プレゼン資料の構成にはいろいろなケースに対応する多くのフレームワークが存在しますが、基本となるのは導入、本題、まとめの3部構成です。
イントロダクション(導入)で聞き手を惹きつける
話し手としての主張を述べるまでの前段階であり、聞き手に「つかみ」と「全体像」を伝えることを念頭に置いて作成する部分です。相手の興味を引くために、まずは自分と相手が共感できる話や体験などを加えることが有用です。興味が引けたならプレゼンテーション全体の流れを軽く話すことにより、本論へスムーズに入れるようにします。
こちらの主張を伝えるボディ(本論)
相手に伝えたいテーマを話す最も重要な部分です。聞き手に対して主張や結論を述べ、それを補完するように根拠や理由、事例を示していきます。主張と根拠のどちらかが欠けていると、話し手の主観的評価や思いつきレベルのプレゼンとなり聞き手に理解と行動を促すことができない無意味なものとなってしまします。
ボディを失敗しないようにするための構成例を下図に示します。
この基本となる枠組みに収めるだけで、わかりやすく、論理的な内容として聞き手に伝わります。主張に対して根拠を複数挙げると説得力が増します。しかしあまりに多く根拠を述べると印象に残りにくいため、2~3つ程度にポイントを絞って説明することをおすすめします。
全体をまとめ、重要部分を繰り返す(終幕)
プレゼンで伝えたかったことを簡潔にまとめ、重要部分を繰り返して強調します。プレゼンの総括というよりも聞き手に起こしてほしい行動を促すようにまとめます。最後にプレゼンを聞いていただいたことへの感謝の言葉を述べて、聞き手に良い印象を与えるように締めます。
目的によって使い分ける!その他のおすすめフレームワーク
基本となる3部構成のプレゼンに慣れてきたら目的によってフレームワークを使い分けてみましょう。おすすめフレームワークSDS、PREP、DESC、FABEの4パターンに関して説明していきます。使いこなすことによってプレゼンの幅が広がります。
要点を明確にできるSDS
要点を繰り返すシンプルなプレゼン構成で、さまざまな場面で使用できます。最初にプレゼンを作るときなど大まかに構成を考えるときにも便利な手法です。
1. Summary(概要):まず全体の概要を述べます。話し手が本論で伝えたいことを聞き手に興味を持たせるように心がけます。
2. Detail(詳細):伝えたい要点を詳細に述べます。最初に話した概要の内容を掘り下げて根拠や事例を提示しつつ、聞き手が簡単に理解できるように噛み砕いて話しましょう。
3. Summary(まとめ):全体をまとめます。聞き手の印象に残るように再度話し手が伝えたい要点を強調して話すように心掛けましょう。
SDS構成の利点はプレゼンで要点を3回繰り返すため、聞き手の印象に残りやすく幅広い場面で使えます。
まず結論!説得力を持たせるPREP
先に結論を提示し、理由と根拠を挙げて説得力を持たせます。
Point(要点、結論):結論、要点から述べます。最初に要点を話すことで、聞き手にとってプレゼン全体の流れが理解しやすくなります。
Reason(理由):要点、結論の理由について話していきます。論理的に説明することを心がけましょう。表や図を活用して分かりやすく示し、聞き手に納得してもらうようにします。
Example(具体例、事例):具体例、事例を挙げていきます。話し手が提案した要点、結論が具体的にどのような結果に繋がったのか、他会社の事例など過去の具体例を示します。
Point(まとめ):最後に要点と結論をもう一度述べます。聞き手の印象に残るように伝えたいことをしっかりと話します。
要点、結論を最初に明確にするため、論理的で納得のいくプレゼンを実現できます。文章での説得にも効果的なので配布資料にも向いています。
問題提起から要望を伝えるDESC
現状、問題提起、解決方法の提案、提案の実行による結果を順に説明することで、話し手の提案、要望の必要性を説明します。
1. Describe(描写):聞き手が抱える現状における問題に対してデータを用いて客観的な事実を述べ、説明します。
2. Express(表現):現状に対して主観的な意見や問題提起をし、解決できる点に関して説明していきます。
3. Suggest(提案):Expressで提起した問題点の解決方法を具体的、現実的に提案します。
4. Consequence(結果):提案を実際に行うことでどのような結果が訪れるかを説明します。並行して提案を行わなかった場合の結果についても説明し、それぞれのメリット、デメリットを伝えます。
一方的な提案、要望の強制ではなく、お互いの妥協点を探る目的でも使用可能で問題解決の思考法としても有用です。
特徴を伝えて売り込むFABE
自社で取り扱う商品、サービスの特徴を挙げて、他社と比較した場合の優位性、差別化された点を示します。
1.Feature(特徴):自社商品の機能や品質、サービスに関する情報を客観的事実に基づいて話します。
2.Advantage(利点):提供する商品、サービスに関して自社の優位性、他社と差別化された点を伝えます。特徴のところで伝えた内容を踏まえて話します。
3.Benefit(顧客特有の利益):自社の優位性、他社と差別化された点が、聞き手に対しどのような利益をもたらすかを具体的に伝えます。聞き手の抱える問題や課題、ニーズをしっかりと把握しておくことが重要です。
4.Evidence(証拠):商品の特徴や自社の優位性、他社と差別化された点、そして利益をもたらす根拠となる分析結果やデータ、具体的な事例などを紹介し、聞き手に信用や安心感を与えます。
プレゼン資料構成はフォーマット化すべき!
1からプレゼン資料構成を作成する場合、時間と労力がかかります。また個人差による品質のばらつきが出ます。プレゼン資料の構成をフォーマット化することで、作業効率の改善、労働時間の短縮、一定の品質の担保が期待できます。実際にプレゼン資料をフォーマット化する時には、聞き手が分かりやすく、見やすいプレゼンテーションを意識して作成することが大切です。
プレゼン資料のフォーマット化における注意点
分かりやすいプレゼンにするために、プレゼン資料を作る目的を明確にし、最初に全体の構成となるフレームワークを考えます。見やすくするために、プレゼンの大まかなスライドデザインも決めます。また、グラフや表などの表示形式を決めておくと、より効率的に作業を進めることができます。慣れていない方は先ほど紹介したフレームワークを参考にカスタマイズしていただければ作成しやすいです。
まとめ
聞く人を惹きつけるプレゼン資料構成のコツとして基本となるフレームワーク5種類とプレゼン資料のフォーマット化について解説しました。医療機関から企業に転職すると、それまでとは勝手が違うプレゼン資料作成に戸惑うこともあります。
そんな時はこれらのフレームワークを用いることによって状況に応じたプレゼンテーションが可能となります。転職したばかりでうまくプレゼン資料が作れない、状況に応じたプレゼン構成がわからない方はぜひ一度お試しください。
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